■ 日本人の家づくり

 平成27年の年が明けた1月の10日、NHKの番組で「日本空き家列島の衝撃」と言うのがあっていましたが何か的を射てなくて、このままでいたら全国の都市や市町村がダメになってしまいそうなので私も一言提言しておきます。
全国にある空き家が820万戸を超えたという反面、一般家屋の新築が増えているという。
おかしな現象が進行しているなと番組の流れを見ていると、背景に固定資産税の制度の問題があり人が住まなくなった家屋を取り壊し更地にして転売しようとするとその土地・家屋の固定資産税が安く設定されていた建物が取り除かれるとその途端に税額が6倍に増え、土地そのものが高くなり売れなくなる為だというのです。
草木が生い茂った建物と土地の持ち主が固定資産税の支払いが滞っていたというケースもあり、その場合滞った税金は購入者側の価格に加算されますます売れにくくなり、多くの家屋が立ち枯れ状態のまま残り土地の流動性を悪くしている。

 

そこで少し視点を変えてみると、大事なことが見えてくるのではないでしょうか?
つまり、日本は同時に災害列島であり常に何らかの被害が出ていて気が休まる暇すらないのが実情です。
 先日は木曾の御嶽山の噴火で多くの方が死傷されましたし、その前は広島の集中豪雨の土砂災害で多数の死傷者と多くの家屋に被害が出ました。
2011年3月の東日本大震災は大津波を発生させ、福島の原子力発電所を破壊し周辺地域を巻き込み多くの犠牲者や被災者が出ました。
また、集中豪雨や河川の氾濫、地震液状化現象による家屋の傾きや倒壊、崖崩れ大津波・火山の噴火などの危険が存在する箇所は各地の自治体がハザードマップにまとめて紹介しているので、各自それぞれ自分が居住している家屋がどの様な位置にあるのか確認しておく必要があります。
日本列島の地図を広げ、現在の都市部や町村部を確認しハザードマップを重ねて人が本来住めない危険地域を削除していくと、住宅地として安泰な土地は意外と少ないのです。
 人は衣食住足りて健康を求め、次に安心・安全を求めるものです。
逆説的には安心・安全が確保できていない地域に住む人々は常に不安に駆られており、イライラして神経質にもなっています。
また、安全・安心がある程度確保された地域は土地の利用優先度が上がり、取引価格も上がります。
最近ではかっての窪地や谷を土砂などで埋め宅地用に造成された土地もあり、以前の情報が地図には記載されていない事が多く、住宅や道路を作る際将来に不利益をこうむることが増えてきました。

安全地域内にある土地や家屋で利用されなくなった空き家は速やかに行政的に取引が可能な方策を講じ流通システムに載せることが、行政が費用をかけずに地域の経済活動を復興させることになります。
道路や宅地が先に存在するのではなく、人が暮らすのに安全で便利な処に人が集まり住宅が増え、道路ができ町ができ次第に発達していくのです。


人が住まなくなった以前の住宅分譲地やニュータウンと呼ばれた地区などが次第に限界集落となっていく状態を正常な形に修正するには「安全・安心」をベースにした土地の見直しと、固定資産税に代表されるように実態に即さなくなった法律は改正し土地家屋が流通しやすくすることだと考えます。
そうすれば払えなかった税金も払えて、気分も楽になります。

2015年1月11日